医療機関ではIT化が急速に進められてきたが、だんだんとその勢いが弱まってきているのが現状だ。

中でも電子カルテの導入は大きな病院であれば基本的になってきており、紙カルテを管理するよりも全て電子化してデータベースにした方が、参照するのも容易である。ペーパーレス化によってコストダウンできるメリットもあるだろう。そして、院外にカルテの情報を提供することも簡単なので、医療機関間での連携を促進する意味でも重要な役割を果たしている。災害時に備えて電子カルテのみにせず、紙カルテを併用している医療機関もあるが、電子カルテを日常的に活用している場合も少なくない。医療の質の向上にIT化が貢献しているのが明白な事例だろう。

その後も、各社が有用な医療システムを開発してきているが、新たに導入を進めようという病院はあまり多くはない。その最も大きな懸念点となっているのが、仕事を止めなければならないリスクがあることである。

医療は365日体制で、正確に行い続ければならない使命を持っているため、仕事を行えなくなるリスクは常に回避する必要があるのだ。新しいシステムの導入によってトラブルが発生してしまうと、わずかな時間だったとしても仕事を止めることになる。また、たとえスムーズにシステムが導入されたとしても、スタッフが慣れていないために作業ができず、戸惑うこともあるだろう。そのため、忙しさに追われている現場ほど導入が難しいのである。